ブログ
Blog
Blog
こんにちは。西府すこやかこどもクリニックです。
いよいよ8月が近づき、本格的な夏休みシーズンを迎えました。
プールや海、川山へのレジャーなど、こどもたちにとって楽しいイベントが目白押しの季節です。
しかし、小児救急医として皆様に最も強くお伝えしたいのは、この時期に急増する「水の事故(溺水)」の恐ろしさです。
こどもの水の事故は、大人の想像を超えるほど「一瞬」で、そして「静かに」起こります。
今回は、悲しい事故を未然に防ぐために、医療の視点から絶対に知っておいていただきたい注意点と、万が一の際の対応について解説します。
まず誤解されがちなのが、「溺れるときは激しく暴れたり、大声を出して助けを求めたりする」というイメージです。
実は、こどもが溺れるときは「静かに、一瞬で」沈んでいきます。
・声を出せない 溺れているときは息を吸うことで必死になるため、声を出す余裕はありません。
・周囲が気づかない 水中で手足をばたつかせる動きは、端から見ると「楽しく泳いで遊んでいる」ように見えてしまうことがあります。そのため、すぐ近くに大人がいても気づけないケースが多発します。
・水深数十センチでも溺れる こどもは頭の重量が重く、身体のバランスを崩しやすいため、足がつくプールや浅い川原であっても、転倒して顔が水につかっただけで自力で起き上がれなくなることがあります。
特に海や川、滝といった自然の環境は、管理されたプールとは全く異なるリスクが存在します。
・川の「急な水深の変化」と「目に見えない流れ」 川底は一歩進むだけで急に深くなっている場所があります。また、表面は穏やかに見えても、水中では非常に強い巻き込みの泥流が発生していることがあり、大人でも足を取られます。
・滝壺(たきつぼ)の危険性:滝壺の周辺は、上から落ちてくる水によって強い下降流(下に引きずり込む流れ)が起きています。一度巻き込まれると、浮力のあるライフジャケットを着用していても浮き上がれなくなるケースがあり、絶対に近づいてはいけません。
水遊びを安全に楽しむために、保護者の皆様には以下のルールを徹底していただきたいと考えます。
・原則1:ライフジャケットの「正しい」常時着用
海や川では、水際を歩くだけであっても必ずライフジャケットを着用させてください。その際、サイズが合っているか、股のベルトまでしっかり締めているかを確認してください。正しく着用していなければ、水中で脱げてしまい意味をなしません。
・原則2:視線を絶対に外さない「アクティブ・スーパービジョン」
「スマホを見ている数秒」「荷物を整理している数十秒」の間に事故は起きます。水辺では、いつでも手が届く距離で見守り、視線を決して逸らさないでください。「周りに人がたくさんいるから誰かが見ているだろう」という油断が最も危険です。
・原則3:体調不良や疲労時は水に入らせない
睡眠不足や、少しでも風邪気味のときは、水中で足がつったり体力を消耗しやすくなったりします。こどもの「まだ遊びたい」に流されず、大人が適切なブレーキをかけてあげてください。
もしもこどもが水に沈んでいるのを発見したら、ただちに引き上げ、以下の対応を行ってください。
・意識と呼吸の確認:呼びかけに応じるか、胸が上下に動いて普段通りの呼吸をしているかを確認します。
・119番通報とAEDの手配:意識や呼吸がない、または判断に迷う場合は、すぐに大声で周囲に応援を頼み、119番通報とAEDの持参を依頼してください。
・胸骨圧迫(心臓マッサージ)の開始:呼吸が確認できない場合は、ためらわずに胸骨圧迫を開始してください。小児の救命では、人工呼吸も組み合わせることが非常に有効です。救急車が到着するまで、または意識が戻るまで絶え間なく続けてください。
水の事故は、一瞬にして家族の日常を奪ってしまう極めて重大なリスクです。
しかし、大人が正しい知識を持ち、徹底して見守ることで、その多くは防ぐことができます。
西府すこやかこどもクリニックは、地域のこどもたちの命と健康を守るため、日々の診療だけでなく、こうした安全への啓発活動にも誠意と責任を持って取り組んでまいります。
楽しい夏休みの思い出が、安全な環境の中で育まれることをスタッフ一同心から願っております。
水辺にお出かけの際は、くれぐれも油断せず、万全の対策で楽しんできてください。
西府すこやかこどもクリニック 院長・スタッフ一同