2020年12月26日で無事に今年の診療が終わりました。

新型コロナウイルスで始まり、そして終わる一年だったと感じています。

2020年2月の段階ではダイヤモンド・プリンセス号のニュースばかりでまさに「対岸の火事」でした。

少しずつ感染者の話が出ていましたが、世界的にここまでの影響を及ぼすとは全く思いませんでした。

その後、3月中旬から病院では医療崩壊、クリニックでは受診控えによる影響が顕著になり、ただ事ではない、何か大きな渦の只中にいるような得も言われぬ恐怖感を感じたことを覚えています。

感染防具や消毒関係の物資は全く手に入らなくなり、休日には私と妻でドラッグストアを巡る日々が続きました。

早朝のまだ冷え込みが強い中、2時間以上並んだこともあります。

ようやく手に入れたのが数枚のマスクだったり、全く購入できないこともありました。

今でこそ想像できませんが、効果の保証されていないようなアルコールジェルを購入して保管したこともありました。

そのような中、70歳を過ぎた両親から足りないはずのマスクやアルコールを送ってもらったり、私の歯科主治医の先生から貴重なアルコールを分けて頂いたり、「空飛ぶ捜索医療団」や「ユニクロ」からマスクを頂きました。また、医療機器メーカーさんからアルコールジェルを頂いたこともありました。

そして、緊急事態宣言や近隣の飲食店を始めとした閉店や撤退、生活の上では外出制限など、本当に多くの出来事がありました。

私たちもオンライン診療、電話再診、新型コロナウイルス対策、アクリル板を始めとした感染対策、そして、勤務体制の見直し、勤務時間の調整などの様々な試みや多くの痛みを伴う決断をしてきました。

 

私たちは第一波で多くを失い、第二波で日常の一部を取り戻し、第三波ではこれまでの叡智を結集して希望や未来を掴もうとしています。

 

当院は10月からスタッフのサポートチームを設立し、12月からは管理部門を発足しました。

今年は多くの別れを経験しましたが、一方で素晴らしい出会いもありました。

これまでの困難や試練を一緒に乗り越えてくれたスタッフやこれからの未来・希望に関わる人々に感謝し、地域の皆様に一層の成長と貢献を約束したいと思います！

 

 

最後に12月末に亡くなった伯父の話をさせてください。

私の医学部合格、医師としての就職、開業医としての挑戦を心から祝ってくれた伯父が末期がんで亡くなりました。

10月中旬に判明してからあっという間の出来事でした。

私の幼少期には年始に親戚一同が集まり、伯父たちのタバコを吹かす姿やお酒を飲む仕草が本当に格好良かったことを覚えています。落ち着いた雰囲気や言葉を選んで話す姿はまさに大人としての見本でした。汚い言葉や非難するような言葉は使わず、常に前向きで謙虚な方でした。

戦後の日本で大きな不安や犠牲を伴う中、決して恵まれた環境ではなかったと思いますが、伯父は父（私の祖父）が不在の中、長男として一家を支えたり、進学を断念しましたが、愚痴を漏らすわけではなく、前向きだったと聞きました。本当に憧れます。

そして、伯父は周囲に多くの愛を与えてきた人でしたが、その人生の最後にも人を許し、受け入れるという素晴らしい決断をしました。

12月のお見舞いで「次郎ちゃん、医師として見ると、俺はもうだめかな」としわがれてしまった声で聞かれ、一瞬言葉が出ませんでした。

涙がとめどなく溢れましたが、ようやく「辛いよね、頑張っているよね。本当にありがとう。これからも伯父さんのように立派な大人になるように頑張るからね。約束するね。」と伝えることができました。

私は伯父のような素晴らしい人と出会えて、本当に幸せです。

そして、何よりも天国で安らかに眠ってください。ありがとう。