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2月13日に東京都立小児総合医療センター講堂で感染症セミナーを受講してきました。
テーマは「かぜ診療における抗菌薬の適正使用について」です。
昨今では「抗生剤ください」「抗生剤はもらえないのですか」と言った診察中の会話はめっきり少なくなりました。ウイルス感染に抗菌薬(いわゆる抗生剤)は不要と言う医学の常識が世間にも浸透してきたためと感じています。
2003年に日本呼吸器学会が風邪に抗菌薬は不要との見解を発表しましたが当初はあまり受け入れられなかったようです。2016年4月、国が薬剤耐性アクションプラン(AMR)を策定しました。これは2050年には世界で1000万人が薬剤耐性菌で死亡すると推定されたからです。
ちなみに抗菌薬の適正使用とは「使わない」という意味ではありません。
これまでの「とりあえず処方」から「必要な人への処方」に切り替えましょうということです。
風邪は多くが発熱とせき、はな、のどの症状を伴う疾患群です。
せきのひどい気管支炎、はなのひどい鼻副鼻腔炎、のどの痛みがひどい咽頭炎を包括しています。
これらの大半が抗菌薬を投与しなくても治癒することがわかっています。
もちろん、抗菌薬が必要な場合や状態もありますので、しっかりと医師と相談してください。
最後に今回の講義を聞いて過去の私を思い出しました。
私は研修医時代に抗生剤の使い方で迷っていました。
多くの医師と同じように先輩医師の使い方を模倣することから始めましたが、思うように良くならなかったり、使い方に根拠や軸を感じられなかったからです。
転機が訪れたのは後期研修医のときです。
私が研修した国立成育医療研究センターには全国から優秀な若手医師が集まってきました。
同じような経験年数にも拘らず感染症に精通した医師が多かったのです。
そこで同僚、先輩から勉強方法を学び、抗菌薬の適正使用に関するセミナーも受けて、後にインフェクションコントロールドクターの資格も取得しました。
それ以来10年以上、抗菌薬の適正使用を心がけています。